植田です。
12日、イギリスの作家ジョン・ル・カレ氏が亡くなりました。
ル・カレは東西冷戦を舞台としたスパイ小説の作家として有名ですが、彼の小説を原作とした映画もたくさんあります。
最近の映画では、「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を原作とする「裏切りのサーカス」(2011年)
ゲイリー・オールドマン主演の緊張感漂う映画です。
また、舞台を現代にしたドラマでは「ナイト・マネジャー」(2016)があります。
「ロキ」トム・ヒドルストンと、「ドクターハウス」ヒュー・ローリーが共演。
今年「TENET」でヒロインを演じたエリザベス・デビッキも出演しています。
でも、僕がル・カレ原作の映画で強く印象に残っているのは、この2本です。
「テイラー・オブ・パナマ」
左遷されてパナマに来た英国情報部のスパイ(ピアーズ・ブロズナン)が、パナマ政府ご用達の仕立て屋を巻き込んでスパイ戦を始めるという物語です。
主演のブロズナンは言わずと知れた007で、こちらでも同じように女たらし。まるでジェームズ・ボンドが左遷されて平和なパナマに混乱を巻き起したストーリーのようで、とても面白く観られます。
もう一本は「ロシアハウス」
先日亡くなったショーン・コネリー主演。
ソ連原潜の艦長を演じた「レッド・オクトーバーを追え」と同じ年の映画で、ショーン・コネリー演じる会社経営者と恋に落ちるソ連の女性をミッシェル・ファイファーが演じ、ソ連と西側のスパイ戦に翻弄される男を演じています。
派手な銃撃戦やアクションはなく、ずっと静かな雰囲気で進む映画ですが、冷戦の狂った世界で、恐怖を押し殺し、勇気を奮い起こして愛する人のために静かに戦う主人公の姿に感動したものでした。
ル・カレ原作のスパイ小説は、007のように派手な美女や銃撃戦、新兵器などは登場しませんが、裏切りと疑心暗鬼の中で主人公が静かに戦う物語が多く、わりと地味だがジワジワ来る映画が多いです。
素晴らしい小説を残されたジョン・ル・カレ氏のご冥福をお祈りいたします。