植田です。
確定申告が始まりました。3月に入ると税務署も込み合いますので、できるだけ早い申告をお心がけください。
さて、今読んでいる本の話をします。

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昨年、50周年を記念してIMAX公開されたSF映画の古典「2001年宇宙の旅」の、撮影秘話を集めたドキュメンタリーです。
実に緻密に取材された大量の情報に基づいて書かれており、ページ数も608ページとかなり厚めで、興味深いエピソードがたくさん集められています。
この本を読むと、これだけの未来図を想像だけで作っていることを改めて驚かされます。
その中で面白いと思ったエピソードをひとつだけ紹介します。
探査船ディスカバリー号のフランク・ブール副長が、船内のベッドで半裸で横になっている時、彼の両親からビデオメッセージが来るシーンがあります。
両親は近況報告をした後、ちょうどブールの誕生日だったということでケーキを用意し、ハッピーバースデーの歌を歌います。
それを画面で眺めるブールは、それをぼーっと無表情で眺めています。
このシーンは、ただ宇宙飛行士の日常のようなものを見せているのかと思っていたのですが、実はキューブリック監督の「仕込み」なのだそうです。
キューブリック監督は、「テクノロジーを介したコミュニケーションは人間の感受性を後退させる」という予想をし、それを批判的に表現しようとしました。
そのため、ブールはあえて無表情、無感動で、ぼーっと画面を見るような演技をしているのだそうです。
しかし、その様子はスマホを見ている我々にそっくりではないですか。
それなりに興味を持ってスマホを見ているはずなのに、表情は一様に無表情で、感情が浮かんでいない。
面白いものを見てるはずなのに、少しも楽しそうにしていない。
まさに今、実際にそれが起きているのです。
この映画が、50年前、スマホどころかまだ電話がグルグル回すダイヤル式しかない頃に、想像だけで作られたことを考えると、これは恐ろしい未来予想だと思いました。
ちなみに、二人の宇宙飛行士がAIであるHAL9000に聞かれないようにスペースポッドの中で会話をする重要で印象的なシーンがありますが、これを考案したのはフランク・ブールを演じた俳優のゲイリー・ロックウッドだそうです。
これも驚きました。彼は、この映画への最大の貢献はこのシーンを思いついたことだと言っています。
この名作「2001年宇宙の旅」は、アマゾンプライムで無料で見ることができます。
それでは、まだ寒い日が続きますので、お体にお気をつけてお過ごしくださいませ。